三 隣 亡
2008年11月


子供の頃、大人の会話で耳から入ってくる言葉に"さんりんぼう "というのがあった。
何だか悪いことが重なったときに、よく、言われていたように記憶している。
そのまま大人になっても、同じような感覚で捉えていた。
それで、最近続けて3回も期待はずれに会った時、思わず " さんりんぼう "と、つぶやいた。
あとで " これって、本当は何のこと? " と、思い直し、辞書を引いた。
" 三隣亡 " と書き、九星の迷信の一つで、建築するのを忌み避ける日をさすらしい。
(この日に建築すれば火事を起こし、近隣三軒を焼き滅ぼす)
"なにをやっても、うまくいかない日なので、この日だけは避けなさいということ"と、夫は言う。
ちょっと私の記憶とは、づれている。
いまだに知らぬ事多すぎて、恥ずかしい。


その一 芝居



                10/30(土) ある大女優の1900回を目指しての公演と聞いて
これが最後になってはと思い、 急いで行ってきた。
               フェスティバルホールの二階の悪い席で、オペラグラスを持って行っててよかった。
               彼女が出てきたときは、全然気がつかず。
               場内のちょっとした"ざわめき"で、目を泳がせて、やっとわかったほど。
               せりふは棒読み、顔はうつろ。
               他の人のしゃべる場面では、蝋人形のごとく、突っ立っている。
               たまに、せりふの終わりに、にこっと笑うと、はじめて生身の人間を感じる。
               あの年で正座をしたり、そこからそのまま立ち上がる場面は、さすがと思うけれど
               何の感動も沸き起こらぬまま、芝居は終わった。むなしさだけが残った。