オペラとコンサート
2012年3月




今まで10本の指で足りるぐらいしか、行った記憶のないオペラと
久しぶりのコンサートに行ってきた。

一つは3/4(日)、ロッシーニ「セビリアの理髪師」。
錦織健プロデュース・オペラVOL5。西宮の芸文大ホールで行われた。



舞台は18世紀のスペイン南部セビリア。
若い貴族と美しい娘の恋の成就の物語。二人の間を取り持つ床屋で、何でも屋のフィガロ。
そのフィガロにバリトンの堀内康雄、娘ロジーナにソプラノの森麻季
若い貴族にテノールの錦織健
二人の仲を阻もうとする娘の後見人のバルトロ(彼女の両親の遺産目当てに結婚を企む)
お金につられてフィガロのいいなりになる、娘の音楽教師バジリオ
ヨーロッパで活躍する堀内はもちろん、バルトロやバジリオ役のバス・バリトンが素晴らしかった。
今まで自分が知らなかっただけで、かれらが、十分世界に通用するレベルにあると感じた。


第一幕では、ロジーナを見初めたアルマヴィーヴァ伯爵が、身分を隠し
彼女の部屋のバルコニーに向かって、愛の歌を歌う。
籠の鳥のような生活を送る彼女には、この美しい歌声が救いとなり、やがて、愛に変わっていく。
後見人のバルトロは、是が非でも二人を引き裂かねばと、躍起になる。
それに対抗するように、フィガロは策を練る。
伯爵を酔った士官に変装させ、その勢いでバルトロの館に入る。
実際、そのあと、彼女を連れ出そうとして、てんやわんやの大騒ぎ。
しまいに、警備兵まで動員することになる。
結局、伯爵が身分を明かすことで、一件落着。

ホールに轟く大合唱の中から、バリトン、バス・バリトンの歌声がはっきり、耳に届いた。
残念ながら、ソプラノとテノールは、かき消されたようだった。
とはいえ、それまでのアリアや二重唱・三重唱では
まるで、森の中を抜けてきたような涼やかな、清逸な歌声を楽しむことができた。

第2幕では、フィガロの作戦で錦織の伯爵が音楽教師の弟子に変装。
声を変えての演技に、会場から大きく、笑いが起こる。
あの手この手の奮闘の末、めでたく、結婚契約書を作らせ、二人は祝福されて幕となる。

いつの時代にも、恋や愛は、人びとの普遍的なテーマで
見る人に、心のときめきを感じさせるものなのですね。

ここに来る前に、DVDで予習していったお蔭で、大筋は頭に入っていたし
舞台の左右に字幕が出ていたのもよかった。
ホールを後にしたとき、何かしら心の底から、リフレッシュされたようで、気分よく帰って来た。