パトリシア・カース
2013年7月





友達に誘われて東京まで、パトリシア・カースに行ってきた。
フランスシャンソン界の第一人者 パトリシア・カース。
パンフレットによると、彼女の母親が彼女の才能を見出し
歌手にしようとした。8才で、シルビー・バルタン、ダリダ、ミレイユ・マチューを
歌って以来、プロ活動をしている。
現在46才、26年前に大ヒットした彼女の
『Mademoiselle chante le blues マドモワゼル・シャントゥ・ブルース』は
ベルギー、スイス、カナダでも受賞につながる大ヒットとなった。
3年後には、『Scène de viè』(人生のシーン)でさらにアルバムチャート1位となり
それ以来、華々しい躍進を続けているという。
13か国、65万人の観衆を動員した前回に引き続き
ワールドツアーインジャパンに「KAAS SHANTE PIAF」(カース ピアフを歌う)と題して
多数のスタッフを引き連れてやってきた。




7月になると、日本でもパリ祭と称して、各地でシャンソンコンサートが開かれる。
毎年毎年、同じような形式で同じような顔ぶれの舞台になる。
何だか、足を運ぶ気もそがれる思いがしていた。
そこに、このカースの舞台である。



ピアフ没後、50年を記念して、彼女なりのオマージュをショーにして捧げたいと。
ピアフの400曲以上あるレパートリーから知られていない歌を
皆さんに知ってもらう意図もあったようだ。




舞台のバックに映し出されるパリの街角、地下鉄。
その前でヒップホップを踊る男性は上半身に何もつけていない。
その横でカースがエネルギッシュに歌い、時に絡み合いながら踊る。
それも裸足で。
胸元を深くえぐった黒いワンピースに包まれて、しなやかな肢体が逆光に踊る。
時として、健康的なエロチシズムさえ、感じた。
若いときの声よりも一段と、ハスキーで分厚く聞こえた。
その理由を彼女は「…人生経験で声に厚みが加わっていったと思います。」と述べている。


芝居・ダンスも歌と同じくらいしっかり練り上げてきたというだけあって
目が離せない舞台であった。
歌によって、伴奏者の位置を変えたり、バックのスクリーンでその時代を映し出したり・・・。
出来る限りの手を尽くして、コンサートをエンタテイメントに仕上げていた。
ピアフとはちょっと趣きが違ったけれど、彼女自身のパッションがほとばしる舞台に
みんな熱くなって、ワイワイと好き勝手を言いながら、帰途についた。