子供の頃の夏休み

2005年.7月


毎年、夏休みが来ると、奈良県の大和にある母の実家に帰るのが、楽しみでした。
そこは自然にあふれていました。
村の仲良しの子供らと、裏の小さな滝の滝壺に飛び込んだり
川エビを捕っては、おばさんに小さなお鍋を借りて
前栽の一隅でそれを炊くなんて、すごくワクワクすることでした。
朝早くから、よその山に探険に行っては、栗を取ったりもしました。
当時、どこの家にも栗や柿の木などあったのに。



から、知ったのですが、奈良の ”寝倒れ” とはよく言ったもので
お昼を済ますと、村中が静かになるのです。 誰も歩いていません。
皆、眠りに入るので、子供の私はとても退屈して
おばさんに ”何かすることない?” とよく言ったものです。


朝の茶がゆ、おいしい古漬けのおつけもの
へっついさん(かまど)の前で嗅ぐ藁をくべたにおい、五右衛門風呂
井戸替え(男の人が両手、両足でつっかえ棒をしながら、井戸の底まで行き
水をくみ出して、空にする。あと、きれいに磨いて掃除をし、新しく水をためる)
井戸水の甘い冷たさ、地蔵盆、アイスキャンデー売り
母屋から離れたお手洗いに夜、おばさんにいつもついて行って貰ったこと
時代劇に見るようなごっつい蔵に入った時のあのにおい
おばあちゃんが昼寝のあと、よくむいてくれた黄色い ”まっか” の味
かごに乗って一山越えてお嫁に来た彼女の話はずーっと
私が大学生になっても興味深くて、いくらでも聞いていたかったのです。母から聞いて
後で知ったのですが、彼女は奈良高等女子師範を出て、小学校の先生をしていたそうです。
道理で、私をぐんぐん惹きつけたのだなーと納得。
まぁ、いろいろ楽しい夏休みでした。